業務請負時の注意事項覚書と契約書見本

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2019/05/17
※出版社さんと作家さんとの間では、正式な書面での契約締結をおこなわず、
メールや口頭でのやりとりで済ませる場合が多くあります。
その場合、まず最初に下記の一文をクライアントさんにお伝えすると、
後々双方の認識が食い違って問題が起きることを減らせます。


「今後のメールのやり取りにおける文面を、契約内容として効力を持つことにご同意ください。
お電話や口頭でのやり取りで済ませたことについても、確認のためその内容をメールでお送りしますので、その内容にご同意いただいた旨のご返信をお願いいたします。
お手数をおかけして申し訳ありませんが、双方の認識が食い違って問題が発生してしまうことを防ぐため、どうがご協力をお願いいたします。」

※このメールに、必ず「同意しました」というお返事を頂いておくようにしましょう。 

※その上で業務開始前に、クライアントさんに最低限の契約事項をメールでお伝えしておくとさらに問題発生を防げます。

■契約内容

下記の契約条項をご提案差し上げますので、内容をご確認の上ご同意頂けますよう、よろしくお願いいたします。
———-記———-
1.
本業務におけるこちらからの納品物(漫画・イラスト・文字列等)を、事前の同意なく無断で本業務以外に二次使用することを禁止します。
常識的な範囲内での、本業務に関わる広告宣伝等で使用することは構いません。
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2.
こちらが明らかな業務放棄をした場合を除き、御社からの一方的な業務依頼破棄をできないものとします。
何らかの事情により本業務を中止せざるを得なくなった場合、それまでの作業内容に見合った報酬を支払って頂けるものとします。
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3.
本業務に関わる書籍の出版・販売等がなされるか否かに関わらず、こちらからそちらへの成果物の納品をもって報酬が支払われるものとします。
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4.
双方合意の上で決定された原稿料・印税について、片方の一方的な都合により変更はできないものとします。
やむなくあらためて変更する必要が発生した場合、協議の上再度双方合意に至った金額を設定するものとします。
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5.
リテイクの内容や回数について、原則として1箇所3(←数値は臨機応変に)回までとし、それ以上のリテイクについては制作費用の追加と期間の延長が発生することとします。
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6.
納期の遅れが発生した場合、明らかに一方に責任がある場合を除き、それに至るまでの状況と経緯をかんがみ、双方協議の上責任の所在を明らかにし、合意された結論を導き出し解決のための努力をするよう双方がつとめることとします。
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7.
漫画・イラスト・文字列内での表現において、何らかの社会的問題を含んだまま刊行し、それが双方もしくはいずれかの損害につながった場合、双方協議の上責任の所在を明らかにし解決することとします。
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8.
こちらの宣伝活動のため、本業務の概要と引き受けた旨の告知を、WebやSNSで行えることとします。
告知可能な時期については、こちらよりあらためてお問い合わせさせて頂きます。
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9.
8.の宣伝活動をおこなう際に、納品物の一部カットや縮小画像などを使用させていただきます。
事前に必ずご相談差し上げて、ご許可頂けたもののみを使用します。
———-以上———-

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※この文面は、どなたでもご自由にお使いくださって構いません。
※あくまで例ですので、各人の状況に応じて改変などもしていただいて結構です。
※この文面を使用した結果生じる問題について、当方では一切責任を負いません。自己責任でお使いください。

■漫画・イラストなどのお仕事を引き受ける際の確認事項まとめ

・クライアントからの依頼内容確認。こちらで請け負う仕事の範囲を明確にする。任せてもらえる範囲についてクライアントとの共通認識を持っておく。
・認識の食い違っている用語・単語は無いか。気付いた時点で確認。同じ単語の使われ方がクライアントによって違うことがたまにあるため。
・請け負う業務内容に該当するかどうか曖昧な指示・追加依頼についてはその都度確認。
・リテイクの回数限度。一定回数以上のリテイクではそのたびに料金と期間の延長が発生する旨、同意を得ておく。
・ギャラの交渉。
・業務内容に見合った期間の交渉。
・原稿料を支払ってもらえる時期の確認。
・途中で業務契約破棄となった場合、その時点までで費やした時間・労力・成果物について、見合った対価を受け取れるよう同意してもらっておく。